パラフィンワックス

常温で固体の白色のワックスです。炭素数分布は約20~40、分子量は約300~550、直鎖状炭化水素(ノルマルパラフィン)が主成分となります。
日本工業規格によれば、パラフィンワックスは原油の減圧蒸留留出油より分離精製した常温において固形のワックスと定義され、融点などによって細分化されています。
当社は多段式プレス発汗法や溶剤脱油法を組み合わせた独自製法で細かい融点別に多品種にわたる製品のバリエーションを有しています。
パラフィンワックス

利用分野

パラフィンワックスの代表的な用途としては、ろうそく用と紙製品加工用が挙げられます。
ろうそく用は常温固体、低い溶融粘度、良好な燃焼性等、ワックスの特性を見事に組み合わせた用途であり、紙製品加工用は防湿、防水、保香、光沢、滑りなどの諸機能を与える為に利用されます。
その他の用途は、化粧品用、医薬用、電気用、ゴム用、接着剤用、滑剤用、酸化パラフィン用、塩素化パラフィン用、マッチ用、インク用、文具用、農林用、彫塑鋳造美術工芸用、紡績用、皮革用、つや出し用、中性子減速用、セラミック成型用など多岐にわたり、それぞれの用途において、ワックス独自の特性が生かされ、使用されています。

パラフィンワックスの性状について

融点

ワックスの熱特性としては、融点、固相転移、融解熱、熱伝導度、比熱、体積膨張率等が列記されます。この中で融点はワックスの物性を代表し、用途特性に合致したワックスを選定する際、非常に重要なものとされています。そして、市販のワックスの多くは融点によって種別されています。しかし、融点が同じであっても、ワックスの組成と成分分布が必ずしも同一とは言えません。したがって、同一融点のワックスを比較した場合、その硬度、感温性、耐熱性などの物性が異なる事が多く、混合物であるが故の多様性です。
一般に、同種物質の固体状のものと液体状のものとが共存し、平衡状態にあるとき、その共存温度を融点と呼びます。一方、前述したように、ワックスは各種炭化水素の混合物であり、その為、純物質のような鮮明な融点は存在しません。そこで、パラフィンワックスの場合、その融点は、”溶解した資料を既定の条件で放冷し、試料の降下速度が既定の速度如何になった時の温度”と規定しています。

針入度

ワックスの硬さを求める測定法が針入度です。針入度が小さい程硬いワックスである事を表します。針入度は測定温度によって著しく変化する為、測定温度を明記する必要があります。パラフィンワックスの針入度は、炭素数分布を狭く、分岐成分の含有率を少なく、油分の含有率を低く、融点を高く、或いは改質剤を添加する事で小さく(硬く)する事が出来ます。当社のHNPシリーズは上記の特徴を見事に生かしたワックスです。

粘度

パラフィンワックスは、数あるワックスの中で最も溶解時の粘度が低い事を特徴としています。パラフィンワックスは、飽和直鎖炭化水素がメインで立体障害が小さい事に起因します。一般に、融点が高い程粘度は高く、温度の上昇と共に粘度は低下します。粘度が低い事で、基材への浸透性向上、高粘度素材の可塑化、塗膜性向上といった効果が期待出来ます。

当社製品のご紹介

※こちらでご紹介している製品は、数ある当社の製品シリーズの一部となります。
詳しくはお問い合わせください。

標準品

標準品は融点の違いにより次の製品があります。
当社標準品は、様々なバリエーションの融点を独自製法で製造した、高純度精製ワックスです。

▼代表性状

品名 融点 油分 針入度 色相 製品形状
゚F 質量% 25℃ 35℃ セーボルト色 顆粒
Paraffin Wax - 155 69 156 0.1 12 16 +30
Paraffin Wax - 150 66 151 0.2 12 18 +30  
Paraffin Wax - 145 63 145 0.2 12 17 +30  
Paraffin Wax - 140 61 142 0.2 10 15 +30
Paraffin Wax - 135 59 138 0.2 11 18 +30
Paraffin Wax - 130 56 133 0.3 13 28 +30  
Paraffin Wax - 125 53 127 0.3 15 - +30  
Paraffin Wax - 120 50 122 0.3 22 - +30    
Paraffin Wax - 115 48 118 0.3 29 - +30    

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〈 主な用途 〉
ローソク、加工紙、ゴム老化防止剤、ホットメルト接着剤、繊維加工助剤、インキ、化粧品、食品模型、蓄熱材、その他

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特製品

飽和直鎖炭化水素に富んだ、高純度精製ワックスです。炭素数分布が狭く、同融点の汎用パラフィンワックスと比べて高硬度、シャープメルト、低揮発性、高い耐ブロッキング性等の特徴を持ちます。

HNPシリーズ

この系列品は、高純度精製パラフィンワックスで従来のパラフィンワックスに比較して、
1. 融点が高い
2. 直鎖状炭化水素の比率が高いため硬くて耐摩粍性に優れている
3. 炭素数分布が狭いため感温性に優れている等、固有の特性があります。

▼代表性状

品名 融点 油分 針入度 色相 動粘度 製品形状
゚C ゚F 質量% 25℃ 35℃ 45℃ セーボルト色 mm2/s
(100℃)
顆粒
HNP - 3 64 147 0.1 6 8 12 +30 6      
HNP - 5 63 145 0.1 4 7 14 +30 8      
HNP - 9 75 167 0.1 6 10 11 +30 7   *1
HNP - 10 75 167 0.1 5 8 11 +30 8 *2
HNP - 11 68 154 0.1 5 8 12 +30 5  
HNP - 12 67 152 - 4 6 8 +30 7      
HNP - 51 77 171 0.1 4 6 9 +30 7      


(*1) 製品名はHNP-9PDとなります。 (*2) 製品名はHNP-10PDとなります。

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〈 主な用途 〉
熱転写インキ、トナー、ホットメルト接着剤、感熱紙、農薬、肥料、離型剤、滑剤、その他

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SPシリーズ

それぞれ特定用途向けに製造されたワックスです。

▼代表性状

品名 融点 油分 針入度 色相 主な用途 製品形状
゚F 質量% 25℃ 35℃ セーボルト色 顆粒
SP - 0165 74 165 0.1 6 11 +30 熱転写インキ
ホットメルト接着剤
     
SP - 0160 71 160 0.1 10 14 +30      
SP - 0145 62 144 0.1 9 13 +30 粉末冶金・
ホットメルト接着剤
*1  
SP - 1039 60 140 0.4 11 18 +30 ローソク      
SP - 3040 63 145 0.2 12 16 +30 食品模型・
病理組織包埋
   
SP - 3035 60 140 0.2 12 19 +30 ローソク・
食品模型
     

(*1) 受注生産となります。

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EMWシリーズ

特殊な製法によって得られたイソパラフィンが主成分のワックスです。柔軟性に富み、滑らかな伸びを示しながら、ベタツキは少ないというユニークな特徴があります。

▼代表性状

品名 融点 油分 針入度 色相 主な用途
゚F 質量% 25℃ セーボルト色
EMW - 0001 49 120 0.3 40 +25 粉末冶金・
セラミックバインダー
EMW - 0003 49 120 0.3 40 - 医薬・化粧品基材

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(主な用途)
EMW-0001(インキ、スキーワックス、皮革油剤)、EMW-0003(医薬、化粧品基材)

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